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枕の選び方で寝姿勢と眠りの質が変わる!

枕は寝具の中では比較的小さく、安価な製品なので気軽に購入したり、季節ごとに交換しやすいものであります。このため、枕を寝具のアクセサリーの一つのように考える方も多いようですが、枕の寝具としての役割は重要で、睡眠中の姿勢、いわゆる寝姿勢との密接な関係があります。
そこで、基本的な枕の選び方のポイントを最近の動向を探りながらおススメの素材を調べてみました。

Contents

枕はどうして必要か?

敷布団やマットレスが硬めのものを利用しているのに枕を利用しないで寝た場合、頭が安定しないことに気が付くと思います。極端に例えてしまえば平面の上に球体が乗っている様な状態です。入眠直後はそれでも少し首に力が入っていますので自立できますが、眠りが深くなると体が弛緩状態になるため、急に頭が不安定なることにより入眠時の眠りが浅くなる場合があります。ひどい場合は肩こりや寝違えの要因の一つになることがあります。さらに、頚椎が自然なカーブを維持できないことで気道を圧迫していびきを誘発してしまうこともあります。そして、寝返りの度に頭が安定させようと無意識に力が入ることも、肩こりや不眠の原因になることもあり、悪くすれば寝返りの際に寝違えを起こすことがあります。

枕の選び方は入眠時と寝返りしたときのフィット感が大切

熟睡や快眠には、まず、何と言っても入眠時に自然で楽な姿勢を取れることが必要です。枕の最も大切な役割は、睡眠時の頭の安定をサポートをすることです。この頭の位置によって寝姿勢が決まるので、入眠時に違和感のない楽な姿勢または好みの姿勢を取れることで自然な睡眠に誘います。次に、寝返りをしやすくすることです。健康な方でも一晩に20回程度寝返りをすると言われていますが、この寝返りがスムーズにできないとやはり、不眠や途中覚醒を起こす原因になります。さらに、それにより首すじを傷める・肩こり・寝床内環境が改善されない、など多くの不快な要因となる可能性もあります。

枕を選ぶときの4つのポイント 高さ・大きさ・かたち・硬さ柔らかさ

高さ

枕の高さは理想的な寝姿勢に大きく影響を与えます。枕の高さが合わないことで、頚椎を圧迫し、首の痛みや肩こりを引き起こす、呼吸を阻害して息の通りが悪くなり、いびきを誘発させるなど結果として途中覚醒や浅い睡眠を引き起こすなど、睡眠の質に大きくダメージを与えます。

ですから、枕の高さの良し悪しは頚椎の状態を基本に考えます。理想の頸椎の状態は、直立して立った場合にできる少し湾曲した状態です。この状態を睡眠時にも維持できることが良いとされています。枕が低すぎるても高すぎても頚椎が伸びきってしまい自然な湾曲を保つことはできません。また、顎が極端に上を向いた状態や引いた状態になる場合は気道を圧迫している可能性があり、いびきの原因となりこれも良い枕とは言えません。

そこで、最近ではこの頸椎と頭を支持する大きめの枕が多く主流になっています。このタイプの枕で、ご自分に合った高さを検討する方法として、まず、あお向けの姿勢の場合は肩口に枕を合わせ、頚椎が自然に湾曲した形を保たれていること、さらに枕が隙間なく頸椎に沿っていて圧迫感がなく支えていることを確認します。この時、顎の角度が水平より約5度程度上を向く様にになるものが気道を確保し、睡眠時の呼吸を楽にします。

また、横向きの場合は、下の方の肩(横向きになった際の敷布団またはベッドマットレス側の肩)の高さにより枕の高さが変わってきます。頚椎が敷布団やマットレスと平行な状態になる枕が良い枕とされています。横向きで寝る場合は頸椎の湾曲は枕に干渉されずに保たれます。

このように、横向き寝の状態になると高さが必要になりますので、枕の中心部が低く、端側が高くなっている形状のものに人気があります。つまり仰向けに寝る場合は枕の中心部に頭を当て、寝返りなどで横向き寝をする場合は枕の端の高くなった部分を利用するなど、どちらの寝方にも対応できるように考えられているからです。

 

かたち

枕の標準的な型は長方形ですが、機能や素材の特徴を最大限に生かせる形状のものが多く多様な形状のものが販売されています。また、近年では枕の機能や用途も様々で抱き枕も装飾品の範疇から実際に寝姿勢の改善やリラックスの効能からストレス発散の効果など、また、最近の横向き寝の流行に伴って頭部と一緒に横向き寝を維持する機能のあるものなどが商品化されるなど、枕は常に流行をとらえ時代を表す商品の一つとなり、寝具では最も活発的なマーケットです。
実際に頭部を支えるという用途を考えて選択する場合、標準的な長方形が基本となりますが、頚椎部のカーブと寝姿勢を自然な状態に維持する、頭を安定させる、寝返りがしやすい、という観点で選択すると良いでしょう。
例えば、枕を使わないで寝た場合、睡眠が深くなり体に力が入らない状態になり少しの向きの変更でも左右の頭の動きが大きくなって首を傷めたり、寝違えを誘発するようになります。また同じ状態でも頸椎が下がることによって顎を引くような状態になり、気道が狭くなった結果いびきを掻いてしまうこともあるようです。枕の周囲の外形と共に高低差についても選ぶことができます。

長方形 一般的な長方形で中心部分が一番高くなっている標準的なタイプ
中心が低いまくら ドーナツ型とも言い、枕の中心部分が周囲よりも低く、頭を安定させます。
波型 ウェーブ型とも言い、低反発枕に多いタイプで頸椎を支えることを主目的にしています。
複合型 複数の中綿素材を組み合わせて作られており、個性ある形のものがあります。

大きさ

寝返りを打っても頭が落ちない大きさが基本です。あお向け(=仰臥位)から左右どちらかに横向き(横臥位)になる場合を考えると最低でも枕の幅は約40cm必要になりますので、どちらの方向にも寝返りをすることを考え60~70cmあればひとまず安心です。縦は肩口から頭がすっぽりと収まるぐらいのサイズを考えると30cm以上が良いでしょう。
一般的に市販されているまくらの大きさに厳密な規定や規格はありませんが枕カバーや呼称などの関係上、大まかなサイズがあります。しかし、この表記も枕の高さ(=厚さ)によっては大きすぎたり、小さすぎたりしますので、きちっと枕カバーなどに合わせるためには実寸値を知っておくことが必要です。また、輸入品などはインチをセンチに換算しているので誤差が表記として表れているものもあります。

29cm×40cm  呼称 ジュニア
35cm×50cm 呼称 ミニシングルまたはセミシングルサイズ
43cm×63cm 呼称 シングル 現在主流の標準サイズ
50cm×70cm 呼称 ゆったりワイドまたはセミダブルサイズ
43cm×120cm 呼称 ダブル

硬さと柔らかさ

素材の柔らかさとパッケージの柔らかさ。これは枕の高さにも関係してきます。
柔らかい素材のものでも枕の側生地の中にパンパンに詰め込めば枕としての商品(パッケージとして)は硬くなります。ですから、素材そのものの柔らかさだけではなく、側生地にどのぐらいの量が入っているかも選択の基準としてお考え下さい。

寝返りがしやすい枕を選ぶことが最大のポイントです。枕が柔らかすぎると頭が沈み込む状態になるので、寝返りがしにくくなります。また、頭が沈み込むほど柔らかいと首を支えきれず、頚椎が自然なアーチを取れずにいびきなどをかく可能性があります。逆に硬すぎると頭が安定せずに首や肩が緊張して、肩こりなどの発生の原因となります。
頭や首が安定すること、首や肩に緊張がないもの、そして寝返りがしやすそうで少し硬めの枕が良いでしょう。

枕のフィッティング以外にも
枕の素材は吸湿性・発散性が高く、清潔性を保てるもの選ぶことも長持ちをさせる秘訣です。
また、枕は重い頭を支えるのでほかの寝具と比べると耐用年数が短いので高価な枕よりも交換しやすい比較的安価なものを選ぶ方が良いでしょう。

中素材 硬さや柔らかさを決める枕の中の詰めもの

化学繊維系・合成繊維系

化学繊維系としたのは様々な種類が存在するからです。多くはポリエステル綿が使用されていますが、最近ではマイクロファイバー(素材はポリエチレンやナイロンの極細繊維)を使用するものが増えています。
羽毛の様に柔らかく、軽量なうえボリューム感があることと、抗菌・防臭・防虫などの加工がしやすいことを特徴とし、アレルギーをお持ちの方やハウスダストに敏感な方などに人気です。
メンテナンス方法も容易なものも多く、通常は日干しまたは陰干しで衛生を保ちますが、水洗いができる物もあります。詳細は説明書やパッケージにてご確認ください。
逆に、体圧分散効果や寝姿勢の支持性(一定時間支えること)は苦手なこと、ヘタリが早いことなど、耐久性に弱点を持つものもあります。

羽毛・羽根

ふわふわとしたイメージの唯一無二の素材です。保温性・通気性・放湿性に優れています。一流ホテルの枕で虜になってお買い求めになる方も多くいらっしゃると思います。
しかし、体圧分散効果や寝姿勢の支持は得意ではありません。毎日ご使用になると少し柔らかすぎたり、夏場はエアコンのない部屋では包み込むような感触は暑苦しさを感じるかもしれません。

最近ではこの羽毛枕と他の素材でできた枕を合わせてご使用になる方もいらっしゃいます。また、羽毛・羽根と他の素材を組み合わせて一つの枕とした複合素材タイプの枕も商品化されています。
掛け布団と異なり、ダウンパワーやフィルパワーを気になさる必要はないと思いますが、羽毛と羽根の内容比率に注意する必要があります。これは、羽毛が多い方が値段は高価になり、柔らかすぎる傾向があります。また、羽根の含 有率が多いと羽軸(うじく)が頭に当たって不快に感じる方もいらっしゃるからです。
羽毛・羽根枕の欠点は天然素材なので、臭いがあることです。これもしばらく陰干しをしていれば気にならなくなるものもあります。購入する場合は羽毛洗浄方法や殺菌方法に注意しましょう。
また、長年ご使用になっていると羽根が出てくる場合があります。

【要注意】アレルギーをお持ちの場合はご使用にならないでください。

低反発ウレタン

ポリウレタンフォームで出来ています。
柔らかく、ゆっくりとした復元力が特徴で、体圧分散効果と支持性があります。フィット感も高く、体型や姿勢に合わせて形状が変化するので、柔らかい寝心地を得られます。枕の中素材としてトップクラスの人気があり価格もこなれてき て購入しやすくなっています。
しかし、弱点もあり素材の密度が高いので吸湿性や通気性がないので夏場などは蒸れやすく、また水に弱く洗濯もできないので適宜、陰干しで清潔を保つ必要があります。また、温度が低いと硬くなる性質もあります。

高反発ウレタン

上記と同じ素材、ポリウレタンフォームで作られています。
低反発ウレタンに比べると「硬め」と表現されますが、低反発ウレタンが沈み込んで包まれるようなフィット感ですが、高反発ウレタンは沈み込むのではなく柔らかくキャッチする感じです。適度な押し戻し感があります。この特性から寝 返りがしやすく、沈み込むことがないので横臥位(=横向き)で寝ることが多い方には好まれます。また、体圧分散効果にも優れています。
通気性は高くなく、洗濯もできないので衛生を保つには日陰干しを行う必要があります。

そば殻

日本で古くから枕の素材として長年親しまれてきた、そば殻を素材とした枕です。今なお枕の中素材として人気が高く、利用されています。
日本の気候に合った吸湿性と放湿性が高く、特に夏は頭がひんやりしてよく眠れると好評です。中のそば殻の量を調節して、低めにも高めにも設定できます。固めの使用感がお好みの方に合っています。流動性もありますので頭の 安定や頸椎の支持性を持たせることができます。
天然素材ですので、虫が付いたり、そば殻同士が擦れ合って粉が出ることがあります。よく、殺菌・洗浄されていることをご確認ください。商品によっては偏りが出る場合があります。また湿気の多いところに長期間保存するとムシやカ ビが発生する場合があります。
頭が当たる部分だけそば殻を利用した複合枕もあります。

【要注意】そばアレルギーのある方はご使用にならないでください。

ビーズ

極小のビーズを使用した枕です。ビーズは発泡ポリスチレンで出来ていて、ビーズ個々のの大きさや形状はメーカーによって違います。
ふわっとした触り心地が気持ち良く、眠りを誘いやすく、素材の流動性が高いことも特徴で、頭の形や頸椎のカーブに追従します。
しかし、この流動性が高いため、寝返りしたときの安定性が悪く、評価が分かれます。一般的にビーズが小さいほど触り心地やフィット感は良好とされますが、通気性は悪くなります。低反発ウレタンなどを組み合わせた複合タイプの枕 もあります。一部に水洗いできるものもあります。

パイプ・ストロー

ストローを細かく切ったような中空パイプものを素材としているものです。パイプは材質はポリプロピレンやポリエチレンなどで、厚みや大きさなど様々なものが存在しています。ハンドメイドの枕などにも利用されているため、部材として も販売されているので、やる気になれば、ご自分でも中材を増やしたり減らしたりして硬さや高さなどを調整することも可能です。
特徴は素材の単体が大きいため通気性が良く、虫など発生の心配もありません。水洗いができる物が多いのでとにかく清潔を保ちたい方には向いてます。また、素材自体の耐久性も高く、比較的長くご利用になれます。使用感は硬めです。また、少しゴツゴツ感もあります。

 

枕は個人個人の好みなどと相まって、「ピタリ」と適したものを選ぶのが難しいものでもあります。頭の大きさや重さ・形状に加え、利用者の体格、さらには硬さ・柔らかさの好みなど思いのほか寝具としての適合のための注意点は多いのです。また、枕の下の敷布団やマットレス等との相性とも関係性が大きいので、敷き布団やマットレスをご購入の際も必ず、枕を実際に利用してお選びになることをおすすめします。そして、何と言っても枕を選ぶときは実際に実店舗で触って、頭を当ててみて選ぶことが大切です。
最近では枕専門店や個人個人に合わせた枕をオーダーできる寝具店もありますので、なかなか自分に合う枕が探せない場合や枕選びに不安を感じる方はご利用になると良いでしょう。

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