ホームセンターや大手スーパーなどの店頭に大きなポップに「冷感 -〇〇度!」「南極体験ができる」など、購買欲をあおるコピーとともに置いてある「ジェルマット」ここ数年来、夏の風物詩のように頻繁に見かけます。
値段も手ごろなものが多く、熱帯夜の寝苦しさを考えたり、エアコンのタイマーを設定し忘れて朝起きたときの不快な体の倦怠感を思い出すと、思わず手が伸びそうになります。あれこれ考えているうちにこの「食品の保冷材」のようなジェルマットの評判を調べることにしました。
ジェル マットとはどんなもの?
ジェルマットまたはジェルパッドで検索するとさまざまなタイプの冷感・涼感ジェルマットが表示されます。
寝具としての用途はほとんどの製品が枕・敷パッドです。
夏に使用される寝具の中で特に直接肌に触れる敷パッドは大いに注目されます。
寝苦しくて起きた時に後頭部の首に近い当たりが汗で濡れていたり、汗にまとわりついたシーツや敷布の不快感から考えると、むしろ敷パッドが夏の快眠・熟睡の中心になってしまいます。普段はあまり敷パッドの機能などに注目することは多くありませんが、寝苦しい夜などは特に、敷パッドが暑く感じたり敷パッドが汗を吸い込まなくなったり、匂いがするとか、何かと気になる季節です。もし、あなたの寝苦しさを改善して快眠・熟睡に導いてくれる商品だとしたら「ジェルパッド」は手放せない夏の寝具の必需品となるでしょう。
敷パッドは基本的にその下に敷いている敷布団やベッドマットレスへの直接の汚濁を防ぐために利用するものですが、近年では寝心地の改善や調整する機能にも注目されて寝具の話題はマットレスや敷布団の上に敷くオーバーレイまたはトッパーとしても話題に中心になっています。
しかし、この「冷感・涼感ジェルマットまたはパッド」は寝心地の改善や調整機能について考慮されているものはほとんどありません。
ですから、この寝心地という点について特に注意して選ぶ必要があります。
次に、どのぐらいの時間「冷感・涼感」が続くのかということですが、広告・宣伝として、「一晩中」とか「朝までひんやり」などとの文言には懐疑的です。実際のところユーザーの声を拾ってみると、実際にひんやり感じるのは約30分~120分という意見が圧倒的です。
では、長時間の冷感涼感が誇大広告なのかというと、そうだともいえないのです。例えば最近店頭で見かける「ジェルに塩」を配合した「ソルトジェル」タイプは、結晶化した塩が体温で温められると同時に体表面の熱を奪い融解した後、寝返りをして体が移動すると約26℃前後で再結晶化します。これにより寝返りを繰り返すたびに融解、再結晶化を繰り返し長時間、冷却効果が持続することを狙っています。ですから、熱帯夜が続く毎日でも深夜から朝方にかけての時間を考えると有効に使える時間帯が存在します。しかし、これも室温が高すぎると効果がなく、扇風機やエアコンで室温を下げる必要があります。
冷え方も、個人的には冷凍庫で冷やした保冷剤を連想してしまいそうですが、そんな急激な冷たさではせっかくの眠気が覚めてしまいます。ジェルパッドの冷え方はじんわりと緩やかにひんやり感が伝わってきますので、体にはよさそうです。表面は短い起毛やポリエステルメッシュのものが多いようです。表面のこの側生地は汗を吸収する機能がありませんので汗の吸収は薄手のシーツを利用するなど別途考える必要があります。
ジェルマットは思ったよりも固めでふわふわする感じはありません。むしろこの硬さでなければ寝返りを打つたびに「ぶわぶわ」とした音やまとわりつく感じがなく、好感が持てるものが多いです。
また、硬いタイプと柔らかいタイプのどちらかを選べる製品もあります。
収納性の問題もあります。複数年使えるようなものであれば涼しくなってきたときの収納する場所の確保も必要になってきます。
多くは、指定の部分で折りたたむ方法です。巻いて円柱状にして収納するものもあります。いずれも取扱説明書の指示に従った方が良いでしょう。
収納時の一番の問題は重さです。ジェルは多くの水分を含有していますので、重いのは必然かもしれませんが、毎日布団とともに上げ下ろしをする場合は特に注意していただきたい。調査したジェルマットの中で最も重いものはジェルマット自体が10Kg を超える物がありました。
通常の布団では重いものでも7kgを超える物はほとんどありませんのでかなりのヘビー級になります。
ジェル マットの使い方
ジェルマットは何といってもマットレスや敷布団の上に敷くだけでヒンヤリと涼感が得られるのが特徴です。熱帯夜に冷房や扇風機などの電気製品を使わずに敷くだけで安全で経済的な涼感を得られるジェルマットは比較的安価で手に入れやすい製品です。
また、ジェルは熱を吸収し、ゆっくりと涼感を体に与えるので、冷房が苦手な方や朝起きると体が冷えすぎてだるくなる方なども安心してご使用になれます。
さらに、例えば夏の暑い夜、そう熱帯夜などは特にベッドや布団に横になると今までだれかが寝ていたのではないかと思うぐらい敷布団・マットレスやシーツが温かくなっていることがあります。これはやはり室温が高いので寝具が暖まった状態なのですが、これだけでベッドに横になるのが嫌になるときがあります。
このような時こそジェルマットを利用すれば眠れないほどの不快感を感じないですむでしょう。特に暑いとなかなか眠れない方、入眠時には特に有効であると思われます。
また、部分的に敷くのもよい使い方だと思います。敷パッドの場合シングルサイズ・セミダブルサイズ・ダブルサイズと大きさがありますが、まずハーフサイズ(シングルサイズの約半分程度)をお試しになるのもよい方法だと思います。上半身・腰・脚などに敷いて部分的にご使用になって有用だと感じたら大きいサイズに移行するのもよいのではないでしょうか。
使用時にはベッドや敷布団の上に敷いておき、エアコンなどを掛けてあらかじめ冷やしておくこと、または、エアコンを利用している部屋に数時間おいて置き、入眠時にベッドや布団に設置するなどの準備が必要です。
ジェル マットを選ぶときのポイント
各社のジェルマットへの「口コミ」を見ると、これほど評価が大きく分かれるものも珍しいです。もちろん各々の商品の品質や値段によっても差ができるのは当然のことですが、大概が購入時の期待の違いがあるように思います。同じ商品の評価の中に、「冷感や涼感を全く感じなかった」という事例や「冷たすぎて敷いて寝られない」といった相反する評価がこれ程多く存在する商品もとても珍しいものです。
ジェルマットを見ると「保冷剤」をどうしても想像して、強烈な冷たさを連想してしまうのかもしれません。しかし、実際には通常のマットレスの表面温度より経過時間により-2℃~ー1℃前後の低下を目指すものです。
これは、深睡眠時の体温は覚醒時より-1℃~ー2℃低下することを考えて、冷やし過ぎないという理にかなった考え方だとも言えます。
寝具、特にマットや敷布団は比較的長時間にわたり人間の身体に密着するものです。穏やかな涼感が入眠に誘うことが健康的な快眠をサポートし熟睡へ導きます。
このように、ジェルマットは冷感・涼感に特化していて、入眠時に不快な寝具の熱の籠りも避けることが出来ます。
次に、表面素材の問題があります。ジェル自体は高分子ポリマー系かエチレングリコールを使用しているので液状の物質を含みます。このため内容物が滲出しないようにいわばビニル袋状(製品により組成物は異なる)の素材を使用しています。この上に直接寝て汗を掻くと表面からの汗や湿気を吸い込まないので不快になります。各商品の「取扱説明書」には「ご使用の際は必ずカバーやシーツなどをかけてご使用ください。」と書かれています。汚濁防止のためにも必ずご使用になることをおすすめします。
ジェルマットを購入する場合の注意点についてまとめました。
1.ジェルの量が多いものはより長い時間冷却効果がありますが、寝心地が悪くなる傾向があります。
2.表面素材(または側生地)が汗を吸収する素材であるか。(汗を吸収しない素材の場合はカバーやシーツを敷くなど対応が必要です。)
3.季節寝具なので、収納性が良いこと。(収納の仕方、折り方などの確認)
4.ジェルマットの重さ(ジェルマットは重いものが多いです。敷布団は重いものでも7kg程度です。)
5.衛生管理品なので不良品以外は返品ができない
6.メンテナンスや収納方法について明確に表示・説明されているもの。
ご注意!乳児には適さない
寝返りができない乳児にご使用は避けてください。ジェルパッドの側生地がどのようなタイプであっても寝返りができない乳児には使用しないでください。
ペットがいる場合、エチレングリコールのジェルは使用しない。
エチレングリコールのジェルは甘い匂いがあり、ペットが舐めて中毒死する事故が増えています。
ジェル マットの耐用年数 寿命 メンテナンス
素材の中心であるジェルがあるため収納時には注意が必要です。「取扱説明書」には収納方法が書いてあると思いますが、折りたたむ場合は、ジェルとジェルの間のシール部分(ジェルを閉じ込めている接着部分)に折り目がくるようにたたむことが基本です。
耐用年数は2~3年というのが多数です。
経年変化により、シール部分の劣化によるジェルの漏洩や収納における劣化によりジェルが漏れないように保護している素材に亀裂が出来ることもあります。
また、保存する場合、高温・多湿・直射日光を避けて保存することが奨励されています。洗濯についてほとんどの商品が洗濯できません。乾いたタオルで拭き、除菌消臭スプレーを掛けて表面の水分が乾いてから収納してください。汚れが酷い場合は中性洗剤を薄めたものをタオルにつけてふき取るのどの方法もあります。詳しくは「取扱説明書」の指示に従ってください。
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